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各疾患について

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各疾患について|神奈川県平塚市にある発達障害・漢方外来 - きりんカームクリニック

各疾患について

発達障害

近年は神経発達症と呼ばれています。基本的には乳幼児期から特徴のある行動や症状が見られます。
例えば、乳児期には夜泣きが激しい、抱っこを嫌がる、ハイハイをする前に歩き始める、幼児期には偏食や感覚過敏、ひどいワガママのようなこだわりや切り替えの困難さ、言葉の遅れ、外出すると常に迷子を心配する、指示が入りにくい、並べ遊びなど不自然な遊び方、いつまでも同じことをしている、飽きっぽい、人見知りが強過ぎて家族以外の人とは話せない、初対面で誰にでも話しかける、学童期では授業中に勝手に動いてしまう、学力に見合わない学習パターンの問題がある、話し方がぎこちない、身体の⼀部が意図せず動いてしまう、相手の気持ちを汲み取りにくい、自分の考えを言葉で伝えることが困難、といったことがある。
そのために養育者にとっては育児困難感を抱きやすくなります。本人は集団参加に不適応になりやすいことが多いです。ところが程度が軽いケースや養育者や周囲の許容度が高いケースでは幼少期は不適応になりにくいため、思春期以降の社会⽣活において不適応となると、二次障害としてのうつ状態で周囲に気づかれることが多く、⼀次障害としての診断が分かりにくいために適切な支援を受けるのに時間がかかってしまう場合があります。そうならないために「早期診断、早期支援」が望まれます。
このグループを特性別に分類(DSM-5参照)すると次のようになります。

  • 知的発達症
  • 吃音・コミュニケーション症
  • 自閉スペクトラム症
  • 注意欠如・多動症
  • 限局性学習症
  • 発達性協調運動症
  • チック症
発達障害

このグループでは家族内の連携と、医療・教育・福祉の連携が重要になってきます。ただし知的発達症では、医療的支援が必要になるのは主に二次障害を認めた場合の限定的と言えます。また医療的支援に際しては、様々な専門性のある医療職との関わりが想定されます。その全てを当クリニックで対応できれば理想的なのですが、残念ながらそういう訳ではございません。そのため、相談内容によっては他機関と連携しながら適切にご紹介させていただくことがあります。
家族内の連携はとても重要です。両親で問題点を共通認識できていないケースや、片親が育児に参加できないまたは育児に関わろうとしないケースがあります。両親からの関わり方が統⼀されないと、子どもがより⼀層混乱しやすくなり、問題行動が増加するという悪循環に陥ってしまいます。日本では多くの家庭では母親に育児の負担が強くかかっていることで、母親が育児の困り感を独りで抱え込み、初診時に抑うつ状態に陥っていることが多々あります。そのような状況にある母親に向けて適切にカウンセリングや医療的支援を行っていきます。もし可能であれば父親にも受診をご依頼させていただきます。
さらには同胞者(兄弟姉妹)がいる場合に、ご本人ではなくても家族の⼀員として影響を受けていることが少なからずあります。そういった場合には、家族がチームとして団結して機能できるように支援いたします。
また、子どもがより良い生活を送れられるように、教育機関や福祉機関との連携を⼤切にします。連携をスムーズに⾏えるようにするため、個別支援計画について医療的側面を中心にして策定することに努めて参ります。そのようにして方針や見通しを「見える化」とすることによって、支援者同士の共通理解の促進を図ります。

小児心身症

小児期において成長過程で心身症を発症したケースのグループ。
小児期に特徴的と言える心身症には、年齢別に下記の疾患があります。

幼児期
反復性腹痛、周期性嘔吐、心因性頻尿
学童期
慢性頭痛、吃音、チック、気管支喘息
思春期
起立性調節障害、過敏性腸症候群、慢性頭痛(偏頭痛、緊張型頭痛)、過換気症候群、自律神経失調症

いずれも精神的葛藤の頻度に応じて、幼児期後半から出現し始めて学童期から思春期にかけて増加傾向を認めます。
特に起立性調節障害では、周囲からは病的に⾒られることが少なく、仮病と勘違いされたりやる気がないと誤解されたりすることで、本人は強い葛藤を抱くことになります。また朝起き上がれないことで不登校となりやすく、それが続くと高校では中退となり、通信制高校への編入を余儀なくさせられ、自己肯定感の低下に陥りやすくなります。
また起⽴性調節障害の合併症として⽚頭痛や神経発達症が潜在しているケースがあり、それらに介入支援することで症状のコントロールがつきやすくなります。

愛着障害

愛着障害

愛着障害と自閉スペクトラム症は専門家にとっても違いが分かりにくいことが多々あります。さらにはその両者が合併していることもあり、支援がより一層難しいケースがあります。

愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じた状態をいいます。主に虐待や養育者との離別が原因で、主に母親などの養育者と子どもとの間に愛着がうまく形成されないことによって生じます。乳幼児期の子どもが養育者と適切に愛着形成ができないことで、「過度に人を恐れる」「誰に対しても馴れ馴れしい」といった対人距離感の問題が生じます。

愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと養育者との間で形成される心理的に安定した関係のことです。子どもからの愛着応答の開始は生後3ヶ月頃で、いつも自分をお世話してくれる養育者と、そうではない人を区別して認識できるようになります。そして養育者と密着した日々を過ごすことで、ますます愛着形成を強固にしていきます。この時期に適切な環境で養育されないと、子どもは周囲に対して無関心になっていきます。そのため、子どもの成長発達には特定の養育者との愛着形成が不可欠といえます。一方で、養育者自身が愛着課題を抱えていると、子どもを大切にしたくても適切な養育ができず、安定した愛着形成が困難になります。そのようにして愛着課題は世代間伝達していくことが知られています。

子どもにとっての愛着の重要性は、次の3点があるといわれています。

  • 人に対する基本的信頼感の獲得
  • コミュニケーション能力の向上
  • 心の安全基地を形成

子どもは不安感や危機感を抱くと、愛着の対象者に自分を守ってもらおうとします。そのように自分の身の安全を確保できて安心できる存在としての養育者は安全基地となり得ます。確固たる安全基地があることで、子どもは好奇心に突き動かされて探索行動に出ます。そしてまた不安・困難に出会うと安全基地に戻って安心感を得ようとします。それを繰り返すことで、積極性、意欲、ストレス耐性を獲得していくのです。

自閉スペクトラム症では生まれながらにして偏りがある発達特性があるのに対して、愛着障害の原因は子どもの生育環境という後天的なものです。そうは言っても、どちらも同じ乳幼児期から症状が現れることで、鑑別が困難となるケースがあります。いずれにしても、まず必要な支援は安全基地の形成です。養育者が子どもの安全基地となれるよう親子支援を行います。また養育者自身が心理的課題を抱えていて、実の親との関係で葛藤していることがあります。そのようにして心理的課題は世代を超えて子どもへと伝わっていくことがあります。多くの場合で世代間伝達すると言われています。

そのため支援の際には、家族全員をチームとして団結できる関係作りのため、家族療法による家族機能の復興を目指すことがとても大切なことだと考えています。

選択性緘黙・不登校・不眠症

選択性緘黙(かんもく)

不安症の⼀つで、特定の状況や環境でしか発話がみられないことが特徴と言えます。自分自身についての恥ずかしさから、発話できなくなって選択性緘黙(かんもく)に進展する場合もあります。多くの場合、安⼼感のある家族や親しい友人を相手にした状況下では正常な会話ができます。
介入の方針としては、安⼼の場を提供してもらえる家族や親しい人との愛着関係の維持を図りながら、不安感の緩和と自己認知を促していきます。会話によらない心理的介入方法である、遊戯療法(箱庭療法など)が有用なことがあります。

不登校

文部科学省は、不登校を次のように定義しています。
「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的理由による者を除く)」
背景要因には、主に次の3タイプがあり、これらの背景要因に合わせた支援介入が求められます。

  1. 生物学的要因(⽣物的基盤の明確な精神疾患や発達障害など)
  2. 心理学的要因(不安感、恐怖感、⾃⼰愛的な傷つきなど)
  3. 社会的要因(友人関係や教師との関係、家族状況など)

生物学的要因に対しては、脳神経に対するアプローチとして薬物療法・リハビリ・療育指導が行われます。⼼理学的要因に対しては、⼼理療法・薬物療法が行われます。社会的要因に対しては、環境調整および二次的弊害への対応として医療的・心理学的介入が行われます。

不眠症

不眠症

子どもの睡眠状態の悪化は、大人と同様に、身体面と精神面の両方に影響を及ぼすことが知れています。一方で大人と比較すると、まだ睡眠障害に対する認識が十分ではありません。その理由として、子どもの睡眠は発達段階によって変化することや、子どもの睡眠障害は大人と異なる病状を示すことが指摘されています。
不眠の要因には、主に次の3タイプがあります。

  1. 環境要因(生活習慣、生活リズム)
  2. 心理的要因(精神的緊張感、自律神経失調症)
  3. 生物学的要因(脳神経の特性、発達障害)

それぞれの要因によって介入方法が異なります。生活指導、心理的介入、薬物療法を組み合わせることでコントロールしやすくなります。薬物療法では、近年ようやく睡眠ホルモンであるメラトニン製剤が正式に保険医薬品として認可されました。また漢方薬で眠気のない睡眠治療を⾏うことが可能です。

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